練習問題の解説一覧

選択肢の違いと出典を、読む形式で確認できます。

1. フュージョン(核融合)で起きる反応を説明しているのはどれですか。

  1. 重い原子核が分かれ、複数の原子核になる。
  2. 軽い原子核どうしが結びつき、別の原子核になる。
  3. 原子が電子を共有し、新しい分子をつくる。
  4. 原子から電子が離れ、電気を帯びた粒子になる。

正答:B 原子には、中心に「原子核」、その周囲に「電子」があります。核融合では軽い原子核どうしが結びつき、別の原子核になります。原子核が分かれる核分裂、電子の関わりで分子ができる化学反応、原子から電子が離れる電離を区別すると、次のプラズマの話が分かりやすくなります。

  • これは核分裂の説明です。核融合と核分裂は、どちらも原子核に関わりますが、反応の仕方が異なります。
  • 軽い原子核が結びつくのが核融合の基本です。電子の状態だけが変わる現象と違い、原子核そのものが変化します。
  • これは化学結合の説明です。分子をつくる変化と、原子核そのものが変わる核融合を区別します。
  • これは電離の説明です。プラズマをつくる過程に関係しますが、電離しただけで核融合したことにはなりません。

詳しく学ぶ:フュージョンエネルギーとは

2. 核融合研究で扱う高温の水素プラズマは、どのような状態ですか。

  1. 水素分子が熱で分かれ、中性の水素原子だけになった状態。
  2. 水素の原子核が分かれ、中性子の集まりになった状態。
  3. 水素から電子が取り除かれ、原子核だけが残った状態。
  4. 水素の原子核と、原子から離れて動く電子を含む状態。

正答:D プラズマには、電気を帯びたイオンと、自由に動く電子が含まれます。高温の水素プラズマでは、水素の原子核がイオンに当たります。これらの粒子は電場や磁場の影響を受けるので、その性質を使って動きを制御できます。プラズマをつくることと、核融合でエネルギーを得ることは、別の達成段階です。

  • 分子が原子に分かれることと、原子から電子が離れてプラズマになることは違います。高温の水素プラズマには電子とイオンが含まれます。
  • プラズマになることは、原子核が中性子に分かれることではありません。ここでは、原子に電子が付いている状態から、電子が離れて動く状態へ変わります。
  • 原子から離れた電子も、プラズマ中を動く粒子として含まれます。原子核だけでなく、電子も一緒に存在する状態を考えます。
  • 高温の水素プラズマには、正の電気を帯びた水素の原子核と、負の電気を帯びた電子が含まれます。原子から電子が離れても、電子が消えるわけではありません。

詳しく学ぶ:プラズマとは

3. 十分な核融合反応を得るためのプラズマの条件として、温度のほかに組み合わせて考えるものはどれですか。

  1. 粒子の密度と、加熱したエネルギーの逃げにくさ。
  2. 容器の大きさと、装置全体の重さ。
  3. 最高温度と、その温度に達するまでの時間。
  4. 実験の回数と、最初の実験からの年数。

正答:A 高温では粒子の運動が激しくなり、正の電気を帯びて反発し合う原子核どうしが、反応できるほど近づく機会が増えます。さらに、粒子の密度と、加熱したエネルギーが逃げにくいことも大切です。ニュースの「最高温度」は成果の一面。温度だけから反応の規模や発電の成否は決まりません。

  • 粒子がどれだけ集まり、加熱したエネルギーをどれだけ保ちやすいかが重要です。温度・密度・エネルギーの閉じ込め性能を組み合わせて考えます。
  • 装置の設計は性能に関わりますが、大きさや重さだけではプラズマの反応条件を表せません。粒子の密度やエネルギーの逃げやすさを調べる必要があります。
  • 温度と加熱にかかった時間だけでは不十分です。粒子の密度や、加熱したエネルギーを保つ性能も関わります。
  • 研究の経過を表す数値ですが、プラズマが核融合を起こしやすい状態かを直接表す条件ではありません。

詳しく学ぶ:プラズマとは

4. 代表的な2つの方法を比べます。①トカマクで磁場を使い、プラズマを閉じ込める。②強いレーザーを使い、小さな燃料カプセルを急速に圧縮・加熱する。この分類として適切なのはどれですか。

  1. ①は慣性閉じ込め、②は磁場閉じ込め。
  2. ①も②も磁場閉じ込め。
  3. ①は磁場閉じ込め、②は慣性閉じ込め。
  4. ①も②も慣性閉じ込め。

正答:C トカマクは、電気を帯びた粒子が磁場の影響を受ける性質を利用します。一方、代表的なレーザー核融合では、燃料を急激に圧縮・加熱し、広がってしまう前のごく短い間に反応を起こします。どちらも、核融合に必要な条件をつくるための工夫です。

  • 2つの名称が逆です。①の磁場による制御と、②の燃料カプセルの圧縮・加熱を対応させます。
  • ①は当てはまりますが、ここで示した②はレーザー慣性閉じ込めの例です。燃料が高温になるという共通点だけで、同じ方式にはなりません。
  • ①は磁場によって荷電粒子の動きを制御する方法、②は短時間に圧縮・加熱した燃料で反応を起こす方法の代表例です。
  • ②は当てはまりますが、①は磁場閉じ込めの例です。どちらも核融合を目指すことと、閉じ込め方が同じことは別です。

詳しく学ぶ:トカマクとは

5. 水素の仲間である重水素(D)とトリチウム(三重水素、T)。この2つの原子核が核融合する代表的な反応で、生じる粒子の組合せはどれですか。

  1. ヘリウム4の原子核と電子。
  2. ヘリウム4の原子核と中性子。
  3. 重水素の原子核と中性子。
  4. ヘリウム4の原子核と陽子。

正答:B D-T反応では、ヘリウム4の原子核と中性子が生まれ、エネルギーが放出されます。ヘリウムの原子核は電気を帯び、プラズマを加熱する働きを持ちます。中性子は電気を帯びず、荷電粒子のようには磁場で閉じ込められません。この違いが、熱の取り出し方や周囲の材料を考える出発点になります。

  • ヘリウム原子核は合っていますが、代表的なD-T反応でもう一方に生じるのは中性子です。電子が自由になる電離と区別します。
  • 代表的なD-T反応では、ヘリウム4の原子核と中性子が生じ、エネルギーが放出されます。
  • 重水素はこの反応の燃料の一方です。反応で生じる主な原子核はヘリウム4です。
  • 陽子も原子核をつくる粒子ですが、このD-T反応で放出される主な粒子は中性子です。他の燃料の反応と混同しないようにします。

詳しく学ぶ:フュージョンエネルギーとは

6. 将来のD-T発電炉で検討される「増殖ブランケット」は、プラズマの周囲に設ける機器です。主な役割はどれですか。

  1. 強い磁場をつくり、プラズマの形と位置を保つ。
  2. 外部からエネルギーを加え、プラズマの温度を上げる。
  3. 蒸気の力で回転し、発電機で電気をつくる。
  4. 熱を回収し、中性子を遮り、リチウムからトリチウムをつくる。

正答:D 増殖ブランケットは、中性子のエネルギーを熱として回収し、周囲を中性子から守り、リチウムと中性子の核反応を使ってトリチウムをつくる役割を担います。電気をつくるには、回収した熱を発電設備へ渡す工程も必要です。燃料づくりと熱回収をつなぐ機器だと考えると、役割を整理できます。

  • これは主に磁場をつくるコイルや制御系に関わる役割です。増殖ブランケットの主要な機能とは区別します。
  • これは外部加熱システムの役割です。増殖ブランケットは、プラズマを外から加熱する機器とは役割が異なります。
  • これはタービン・発電機の役割です。熱を取り出す機器と、その熱を利用して電気をつくる設備を分けて考えます。
  • 増殖ブランケットには、熱回収・中性子遮蔽・トリチウム増殖の機能が求められます。名称だけで実証済みと判断せず、性能や条件を確かめます。

詳しく学ぶ:ブランケットとは

7. D-T核融合について「重水素やリチウムの資源が豊富だ」と聞きました。燃料を安定して供給できるか考えるとき、適切なのはどれですか。

  1. 資源の量に加え、トリチウムをつくり、回収して燃料として供給できるかを確かめる。
  2. 海水から重水素を分ければ、必要なトリチウムも同じように確保できる。
  3. リチウムを必要量購入できれば、トリチウムの供給量も確定できる。
  4. 使ったトリチウムを回収すれば、新たなトリチウムの供給は不要になる。

正答:A 重水素は天然の水に含まれますが、トリチウムは自然界に豊富にはありません。将来のD-T発電炉では、リチウムからトリチウムをつくり、取り出して再び燃料として使う仕組みが重要です。使える燃料を必要な量だけ供給するには、資源の確保と、製造・回収・再供給の技術をつなげて考えます。

  • 必要な時期・量の燃料を得るには、原料の存在だけでなく、増殖や回収を含むシステムが成立するかの確認が必要です。
  • 重水素とトリチウムは別の同位体です。重水素を海水から得られることは、必要量のトリチウムを同じ方法で確保できることを意味しません。
  • 原料の確保に加え、核反応での増殖、回収、損失や需要を含む燃料循環を確かめる必要があります。原料量だけでは供給量を決められません。
  • 未反応の燃料は回収・再利用できますが、核融合で反応したトリチウムは消費されます。回収だけで継続運転の燃料を補えるわけではありません。

詳しく学ぶ:ブランケットとは

詳しく学ぶ:フュージョンの安全性

8. D-T方式の装置で「核融合反応を止めれば、その後の放射線管理は不要になる」と説明されました。適切な理解はどれですか。

  1. 中性子の発生が止まると、放射化した材料もすぐ元に戻るので不要です。
  2. 反応を止めても、トリチウムや放射化した材料は残るため管理が必要です。
  3. 放射化は表面に燃料が付くことなので、洗浄で除去すれば管理は不要です。
  4. 停止後に高温部分が冷えれば、トリチウムの放射性はなくなるので不要です。

正答:B トリチウムは放射性を持つ水素の仲間です。また、中性子との反応によって装置の材料が放射性を持つことを「放射化」といいます。核融合反応を止めても、こうした物質がすぐになくなるわけではありません。反応を止められるという特徴と、停止後も放射性物質を管理する必要性を、両方押さえることが大切です。

  • 新しい中性子が生じなくなることと、既にできた放射性物質がなくなることは別です。放射化した材料の扱いは引き続き評価します。
  • 反応停止後も、装置にある放射性物質を適切に扱う必要があります。反応を止めやすいという特徴だけで、管理が不要になるわけではありません。
  • 放射化は核反応により材料自体が放射性になることです。放射性物質の付着・混入である汚染と同じではなく、表面洗浄だけで解決するとは言えません。
  • 冷えることと、放射性物質が放射線を出す性質は別です。温度を下げただけでトリチウムの放射性がなくなるわけではありません。

詳しく学ぶ:フュージョンの安全性

9. 架空の実験で、核融合出力が200 MW、プラズマに届いた外部加熱パワーが40 MWでした。Q=核融合出力÷外部加熱パワーとすると、正しい説明はどれですか。

  1. Qは5で、施設全体から160 MWの電力を外へ送ったと分かる。
  2. Qは5で、発電した電力が施設の消費電力の5倍だと分かる。
  3. Qは5で、施設全体の正味電力はこの2つの値だけでは分からない。
  4. Qは0.2で、施設の消費電力が核融合出力の5倍だと分かる。

正答:C Qは200÷40=5です。ただし、分母の40 MWはプラズマへの加熱であり、施設全体が使う電力ではありません。発電量を知るには熱から電気への変換を、外へ送れる電力を知るには施設内の消費も確かめます。「何を何で割った数字か」を確認すると、研究成果を正しく読めます。

  • 200−40を送電電力にしてはいけません。核融合出力とプラズマへの加熱は、発電機の電気出力や施設全体の電力消費と同じではありません。
  • このQの分子は核融合出力、分母はプラズマへの外部加熱です。施設の発電電力と全消費電力の比にはなっていません。
  • 定義に沿って200÷40=5です。施設全体の消費電力や、熱から電気への変換を含む情報は示されていません。
  • 40÷200は、問題で定義した比を逆にした値です。さらに、40 MWを施設全体の消費電力と読むこともできません。

詳しく学ぶ:Qが大きいと、もう発電できた?

10. 架空の研究発表です。「実験装置で初めてプラズマを生成しました。今後、加熱性能とプラズマを維持できる時間を調べます。」この発表だけから言えることはどれですか。

  1. 核融合エネルギーが加熱エネルギーを上回り、発電試験へ進んだ。
  2. 発電用の燃料循環が成立し、長時間運転の確認へ進んだ。
  3. 送電を伴う発電を実証し、商用運転の準備へ進んだ。
  4. プラズマを初めてつくる段階に到達し、性能の検証をこれから進める。

正答:D 確認できる成果は「初めてプラズマをつくったこと」です。加熱や維持時間は、これから調べる計画です。核融合出力、燃料循環、発電や送電の達成までは書かれていません。研究の前進を理解するには、装置の目的と、実際に測って確かめた内容を分けて読むことが役立ちます。

  • 発表が述べているのはプラズマ生成です。核融合のエネルギー利得や発電試験の実施は、この文章からは確認できません。
  • 燃料の増殖・回収・供給についての記載はありません。維持時間をこれから検証するという記述も、燃料循環の実証を意味しません。
  • 電気をつくって外へ送ったという記載はありません。初プラズマ、発電実証、商用運転は別々に確認する段階です。
  • 達成済みのプラズマ生成と、今後行う性能検証を分けており、発表が述べている範囲に合っています。

詳しく学ぶ:企業のロードマップの読み方

問題を解く