NEWS LITERACY
この回のゴール
- MWで表すパワーと、MJで表すエネルギーの違いを説明できる。
- 核融合出力と外部加熱パワーからQを計算できる。
- Qの値と施設全体の電力収支を区別し、ニュースで確認すべき情報を挙げられる。
ニュースの5倍を読み解こう
「投入したパワーの5倍を核融合で生み出した」。こんなニュースを見たら、街へ電気を届けられる日が近づいたようで、わくわくしますね。その成果を正しく楽しむ鍵が、Q(キュー)です。どこに入れたパワーと、どこから出たパワーを比べたのか。一緒に数字の中身を見てみましょう。
この回でできること
読み終えると、MWとMJの違い、Qの計算方法、発電を確かめるために必要な情報を説明できます。使う計算は掛け算と割り算、引き算だけ。ここではITERのような磁場閉じ込め方式のQを扱います。
MWは速さ MJは量
MW(メガワット)は、1秒あたりに生まれたり使われたりするエネルギーの速さ、つまりパワーを表します。MJ(メガジュール)はエネルギーの量です。1 MWは1秒あたり1 MJなので、一定の200 MWが10秒続けば、エネルギーは200×10=2,000 MJ。出力と継続時間をセットで読むと、実験の規模が見えてきます。なお、MWという単位だけでは、核融合の出力か電気の出力かは分かりません。
参考: National Institute of Standards and Technology (NIST):Watt (W) / National Institute of Standards and Technology (NIST):Joule
Qはどこを比べる数字か
核融合反応は、プラズマという原子核と電子が分かれて動く状態で起こります。Qは「核融合反応が生むパワー÷プラズマに外部から加える加熱パワー」。同じ単位どうしの比なので、Q自体に単位はありません。分母は施設全体が使う電力ではなく、加熱装置での損失や冷却設備などの電力を丸ごと数えた値でもありません。
参考: ITER Organization:FAQs
架空の装置で計算しよう
核融合出力が200 MW、外部からプラズマへ届く加熱パワーが40 MWなら、Q=200÷40=5です。
続いて発電を考えます。発電に使える回収熱を仮に200 MW、熱を電気に変える効率を40%とすると、発電機の出力は80 MW。加熱装置の電源や冷却などを含む施設全体の消費電力が100 MWなら、差引きは80−100=−20 MWで、外からの電力が必要です。外部加熱40 MWのための電力も、この100 MWに含まれます。
これは熱回収や機器効率を単純化した架空の例で、実機の予測ではありません。Qだけでは、発電量も差引きの電力も決まらない、と分かれば十分です。
参考: ITER Organization:FAQs
ITERが目指すこと
ITERは、外部加熱50 MWに対して核融合出力500 MW、Q=10を目指す実験装置です。これは目標で、発電の実績ではありません。ITER自体は電気を生産しませんが、核融合で生まれた粒子による自己加熱や、将来の発電所に必要な技術を調べます。高いQには、プラズマの可能性を探る科学的な価値があります。
参考: ITER Organization:What will ITER do?
明日のニュースで試そう
気になる記事から「何の出力か」「Qの分母は何か」「何秒続いたか」を探しましょう。発電の話なら、電気への変換と施設内の消費も確認します。比較する時間をそろえ、起動や待機も含むか見ます。こう読むと、加熱、冷却、制御など、研究の前進や仕事につながる技術が具体的に見えてきます。
参考: ITER Organization:FAQs / ITER Organization:What will ITER do?
まとめと次の一歩
Qはプラズマの成果を見る指標。街へ届ける電力を考えるときは、施設全体まで視野を広げます。次は「その反応を続ける燃料はどこから来る?」を入り口に、重水素とトリチウムを学びましょう。
3問で理解を確かめる
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確認問題
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参考資料
- ITER Organization:FAQs 確認:2026-10-05
- ITER Organization:What will ITER do? 確認:2026-10-05
- National Institute of Standards and Technology (NIST):Watt (W) 確認:2026-10-05
- National Institute of Standards and Technology (NIST):Joule 確認:2026-10-05
出典の発行機関による監修・推薦を意味しません。