フュージョンエネルギーとは

原子核で起きる反応から、熱を電気に変えるまで。核分裂や水素の燃焼との違いをつかみます。

FOUNDATION

同じ水素でも、起きていることは違う

水素を燃やすと熱が出ます。核融合でも水素の仲間からエネルギーを得ますが、反応の場所が違います。水素の燃焼は電子の関わる化学反応で、原子どうしの結びつきが変わります。核融合は、原子の中心にある原子核どうしが結びつく反応です。軽い原子核が融合し、反応前後の質量の差に相当するエネルギーが放出されます。何でも融合させればエネルギーを得られる、という意味ではありません。

核分裂と、太陽との違い

核分裂はウランなどの重い原子核が分かれる反応、核融合は軽い原子核が結びつく反応です。どちらも原子核の変化を利用しますが、燃料や反応の続け方は異なります。核融合を「小さな原子力発電所」とだけ覚えると、大切な違いを見落とします。

太陽では強い重力により高い密度と温度が保たれ、水素からヘリウムへ至る反応が進みます。地上の装置は太陽の中心をそのまま再現するわけではありません。地上で反応を起こしやすい組合せとして、重水素DとトリチウムTが広く研究されています。

反応のエネルギーは、まだ電気ではない

代表的なD-T反応では、ヘリウムの原子核と中性子が生じます。電荷を持つヘリウム核はプラズマを温める役割を担い、中性子は磁場を通り抜けて周囲の機器へエネルギーを運びます。将来の発電炉では、そのエネルギーを熱として回収し、タービンと発電機などを使って電気へ変える構想が研究されています。

架空の展示で、反応を示すランプと発電機を示すランプが別々にあると考えてみましょう。反応側が光っても、熱の回収、発電、施設内の消費電力の確認が済んだとは限りません。研究成果を読むときも、この区切りが役立ちます。

期待と課題をセットで

核融合反応そのものは化石燃料を燃やしません。一方、設備の製造や運転には資源とエネルギーが必要です。D-T方式ではトリチウムの供給・管理、中性子に耐える材料も課題になります。核融合を理解する第一歩は、反応の成功と、使いやすい電源としての完成を分けて考えることです。

確認問題

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1. 水素を酸素と反応させて水を作る装置を見ました。核融合かどうかを判断する手掛かりはどれですか。

正答:B

発熱や燃料名だけでは分類できません。化学反応と核反応は、変化が起きる場所で区別します。

  • A:原子どうしの化学的な結合でも起きるため、核融合とは判定できません。
  • B:電子の結合ではなく、原子核の融合が起きたかを確かめます。
  • C:分子の重さの比較は、原子核が融合した証拠になりません。
  • D:化学反応でも起こり得るため、エネルギーの大小だけでは分類できません。
2. D-T発電の説明図を「反応→熱の回収→発電機→送電」と描きました。図に追加すると理解が深まるものはどれですか。

正答:C

送電できる電力を考えるには、発電機の出力に加えて、加熱や冷却などで使う電力も必要です。

  • A:熱から電気への変換には損失があり、全量が電気になるわけではありません。
  • B:中性子は電荷を持たず、プラズマ用の磁場では閉じ込められません。
  • C:加熱や冷却などの消費を加えると、施設全体の収支を表せます。
  • D:施設内でも電気を使うため、発電機出力と送電できる電力は区別します。
3. 「太陽が光る仕組みを使う」と聞いたとき、最も正確な受け止め方はどれですか。

正答:B

共通するのは核融合という原理です。主な反応経路や密度、閉じ込め方は同じではありません。

  • A:太陽の主な反応経路と地上で研究するD-T反応は異なります。
  • B:共通する原理を示しながら、条件まで同じとはしていません。
  • C:密度や閉じ込め方も重要なので、温度だけでは条件はそろいません。
  • D:大きさだけで必要な温度は決まらず、太陽の強い重力も再現できません。

参考資料

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